2006年08月30日
TOB
日本の製紙業界1位の王子製紙が、
5位の北越製紙に対する敵対的TOB
(株式公開買い付け)の成立による
経営統合を断念した。
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なかなか日本ではこのTOBと言う企業買収が
成立しない・・・
米国ではしょっちゅうある・・・
もちろん不成立の場合もあるが
要は 買い手の提示条件次第・・
そして 最も重視されるのが
株主にとって 良いかどうか・・
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日本は TOBをかけられた側の
「経営陣」が 必死で反発する
だって 統合されたら 自分の役職は
たぶん保証されないから・・・
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買収されたほうは やっぱり占領された国のように
辛苦をなめることになるのは明白だから・・
ありとあらゆる手を使って 反対する
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株主も よく分からないから
Bit の買い取り価格だけ見て決めようとする
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アメリカでは 株主がどう判断するか・・
つまり 会社は株主の物 とはっきりした文化があるので
会社の経営陣は その意向に従おうとする・・
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日米の違いを感じることだ・・
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日本人にとって 長年勤めた会社は
家族 や 魂、
そして<自分の人生>そのもの
特に 滅私奉公して 会社の経営陣まで
上り詰めた人たちには
買収されると言う事は大迷惑・・
今までの 努力が水の泡・・
せっかく取締役にまでなったのに・・・
冗談じゃないよ!って
感情的に執着してしまう・・・
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アメリカは 会社や仕事は
生活の為 労働して稼ぐ場所や手段だ
と言う意識が強い・・・
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もともとアメリカには
自分の会社に買い手が現れると
いくらで 買う?って
会社を売却して創業者利益を得たり
企業価値を売買する文化があるから・・・
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だから経営陣だって
どっちの方が株主にも 自分にとっても
あるいは その会社の将来にとっても良いかどうか
考える文化 土壌が整っている・・・
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統合されて 自分が新経営陣から外れたら
他の企業に 再就職すればいいし
あるいは
それを機会に リタイヤーして
自分で違う趣味や楽しみで
稼ぐ方法を見つけてもいい
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アメリカにはそんな人生価値観があるから
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日本で TOB が一般的になるまでには
経営陣が あと1~2世代交代する必要が
あると思う・・・
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そんないきなり規制緩和だとか
グローバルスタンダードだ なんて言って
アメリカと同じ様なことは出来ない・・
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ハワイでも つい2~3年前に
ハワイ銀行業界3位の
セントラルパシフィックバンク(CPB)が
日系人が創業者である地元の銀行
シティーバンク(City Bank)に
TOBをかけた・・・
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結果は TOB成立
街から City Bankの看板は消えた・・
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TOBをかけた CPBの頭取が白人だったので
日系人を中心とする City Bankの経営陣は
ありとあらゆる 反対のメッセージを
地元ハワイの株主に発信した・・・
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しかし
結果は 統合した方が銀行の業績が良くなり
競争力が増し、株価も上がる・・・と
株主が判断したわけだ・・
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確かに占領軍と属国の意識が全く無い訳ではない
でも
結果 株主の長期的利益が見込まれ
投資価値が増すであろう 統合は
意味があるし
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今回の 日本の製紙業界のTOBは
はっきり言って
これまでの 日本でのTOBに比べ
一番 現実的で
最もマシなケースだったような気がしたが
やはり 日本の文化 企業風土 業界での競争
そして 「占領する側と される側」 と言う
感情面、 こだわり面での結果だろう
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本当に 日本は村社会・・・
会社は経営陣の物で 株主は黙って
配当だけもらってなさい・・・
そりゃ今後確かに業績がどんどん落ち込んで
業界全体が世界の価格競争にさらされて
将来は 今より厳しい状況に
追い込まれるのは明白だけれども
この会社には伝統と言うものがあるんだからって・・・
「とんでも 無い。 買収なんて何て失礼な・・」
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そんなお国柄や
日本的の資本主義の特徴を
感じたニュースだった・・・
投稿者 : 2006年08月30日 09:57
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