2007年04月04日
父の遺言
父が亡くなって 今年で12年になる
亡くなったので もう直接会話は出来ないけど
今でもよく 心の中で相談をしている・・
・
・
こんな時 オヤジだったら何と言うか・・・
オヤジなら どう判断するかな・・・と
・
・
・
・
父親は
とても真面目で、正義感が強く
良い意味でも 悪い意味でも
明治時代の日本男子の風情を持っていた
6人兄弟の長男だったから
余計 気張っていたのかも知れない
・
・
生前、会う度によく二人で飲んだ
楽しかった
亡くなる二年ほど前も 一時帰国した際に
東京の実家で
三日間 飲み明かした事がある
・
・
夜は父親の隣に 寝て
昼は 近くの街へ出かけ
父のお気に入りの レストランへ
夜は自宅で 一杯やる・・・
そんな日々
・
・
父には 自宅から近い街に
ひいきにする店があった
共通点は どこもお料理はまあまあだけど
必ず、気の利いた支配人のいる店だった
・
・
「いやー どうも また来ましたよ!・・・」
「あー いらっしゃいませ・・・」
・
そう言いながら いつもの好みの席に着く
出かけるときは ネクタイをして背広姿・・・
ネクタイなんかするのか? オヤジ!
・
そこで 普段は一人で おそらく月に2-3回
昼から一杯やりながら
松花堂弁当で ちょっとぜいたくなランチを
楽しんでいたのだと思う・・・
・
・
そして父の話し相手になってくれる支配人と
あれやこれやと会話を楽しんでいたに違いない・・・
・
・
父にそういう店に連れて行ってもらうと
その店の支配人に必ず言われた・・・
「これが その息子さんですか・・・」って
・
・
二人で松花堂弁当を食べながら ビールを飲む
昼だから やや酔ってしまうけど
父との時間が たまらなく楽しかった
・
食事が終わると最後は 大いにもめた・・
父親と自分で テーブルの上にある勘定書きを取り合う・・・
オヤジいいよ 俺が払うから!
いや ここは俺が払う!・・・って
結果 通算勝率5割くらいだったかな・・・・
・
・
それから 支配人にお礼を言う
「いつも父がお世話になります・・・」って
・
・
「いえ とんでもない!
いつもごひいきにいただいて・・・・」
「ご面倒でしょうけど 話し相手になってくださいね・・
父が支配人のことを とても誉めていて・・・」
「え!はい もちろんでございます・・・」
・
・
父の気に入る支配人は皆良い人だ・・・
でしゃばらず、それとなく席の後ろで
食事の席に気を配ってくれ
聞き上手で、笑顔の良い人だった・・
・
・
それから スーパーで父のベッドルームの
カーテンの金具とか買って帰宅し
普段父が一人で出来ない
ちょっとした部屋の手入れや修理をする・・
そんな日々だった・・・・
・
・
よく 母と娘のおしゃべりが止らない・・・と聞くが
我々は男同士だけど よく話をした・・・
・
・
ある日 ちょっと躊躇していたことを父に相談し
こんな風に考えているんだ・・・と話した・・
・
・
普段は
「危ないから気をつけろ」
「慎重に 事に当たれ」
または
「出来れば 止めておいた方がいいぞ・・・」なんて
アドバイスをくれる父が
その日は違った・・・
・
・
「そうか・・・・ でもな
人間 行く時は 思い切って行けよ・・・」
「周囲のたわ言や 妬みなんか気にしないで
行く時は 行くんだぞ・・・」って
・
・
新鮮だった・・
父の口から 出る言葉としても
自分のその時の 感情に対しても
とても 新鮮で気持ちの吹っ切れる一言だった・・
・
・
それからの人生で ちょっと悩んだり
どうしようかな・・・と躊躇すると
父親の その日の一言を思い出すようにしている
「行く時は 行け!」
・
・
これまでの人生
不思議と 「思い切って良かった」
と言う結果の方が多かった・・
・
池の前でグリーンを直接狙って
思い切って行くと
池にボールが入ってしまう・・・?
・
ま それ以外はだいたい
思い切って、好結果だったように思う
・
・
普段 真面目で倹約家
それに 綺麗好き
忠義を重んじて 努力する
石橋を叩いても渡らないタイプの父から
物事には メリハリを持って当たれ
普段は慎重に
そして
行く時には行け!
行くと決めたら とことんやれ!・・・・って
おー! そうか やっぱり・・・そういうものか
・
父の遺言の一つとして
そんな 生き方を伝授されたように思っている
投稿者 : 2007年04月04日 09:35
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mkuhawaii.com/blog/mt-tb.cgi/1081
コメント
星砂と青空さん
コメントありがとうございます。
そうですね、今でも自分の生き方に
父親の精神が脈々と流れているようです。
人間誰でも親の存在、ありがたさを忘れては
絶対にいけないと思っています。
投稿者 内田 : 2007年04月05日 06:02
里帰りの時のお父様との素敵な思い出話、映画のワンシーンを見るかのように情景が目に浮かびました。父と息子の絆、信頼関係がしっかりと築かれていたからこそ、内田さんの中に、価値観、生き方の筋のようなものとして、お父様が今も生きていらっしゃるように思います。おのれの肉体が無くなっても次世代に残していける確かなもの、それはいつも目に見えない大切なもののように思います。それが芸術であれ、親としての使命であれ。・・お父様、きっと支配人さんに「自慢の息子」のお話をよくされていたのでは、とお察ししました。
投稿者 星砂と青空 : 2007年04月04日 23:35